廃棄都市・5

耳を、疑った。


「量産型の化け物は、当時は此処でしか造れなかった」


――何を。
どういう事なのか。
この男は、何を言っているのか。


「待って下さい。それは、つまり…」
「混乱しているのか」
「いや、あの……」
言葉に詰まる。これは、信じられる話なのか。


『化け物は造られた』


「それとも、純粋過ぎるのか」
言葉が、出てこなかった。
状況が把握出来ない。
僕は――僕達は、ずっと戦ってきた。
敵だと教えられ、僕達に危害を加えるそれらと。
そして命と引き替えに、莫大な報酬を得るのだ。


「別に信じろとは言っていない」
「あの」
「老いぼれが独りごちているだけだと思えばいい」
「じゃあ、なんで貴方は、そんな話を僕にするんですか」
少し、怒りを感じた。
「僕は、――確かに兵のひとりに過ぎませんが」
「ああ」
「それでも、命を賭けています、この戦いに」


再度、店中に珈琲の香りが漂う。
「そんな僕に、そんな話を………」
「ああ」
店主は笑い、そして真顔になった。
その視線に、一瞬、僕の中の何かが反応した。


この人は、もしや。


「お前さんに、少し、俺と同じ匂いを嗅ぎ取っただけさ」



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