廃棄都市・7
人間は欲望には勝てないものだ、
店主はそう言い煙草に火を点ける。
甘い匂い。初めて嗅ぐ匂い。
何故だろう、この荒野の中佇むこの店は、
他の似たようなショップとは違う空気がある。
「殺し合いってのは、結局莫大な金が動くんだ」
「……ええ。それは分かります」
確かにそうだ。
軍需産業は結局のところ、国に利益をもたらすものだ。
それぐらいは、学のない僕にでも分かる。
しかし、それが仮に、自作自演の罠だとしたら。
一番の恩恵を賜るのは誰なのだろうか。
「モンスターと呼ばれている化け物はな、元はまともな生き物さ」
店主の話は続く。
あらゆる生き物の遺伝子情報を組み合わせ、
最先端の技術と施設を持ち、幾度の研究を重ね、
王国は「標的」を造り上げ、そして野に放った。
結果、狙い通りに目的は達成され、遷都は実行された。
「どうしても、首都機能をリーアに誘致させたかった人間がいた」
「……何故ですか」
「あの土地は不安定だが、魔力作動のある土地だ」
首都リーアの最大の力。
『魔力』と呼ばれるシールド。
それにより土地は守られ、
また、あらゆる事柄にも影響を及ぼす。
「当時の此処の機能と、その魔力作動を組み合わせたら」
蒼い瞳。白髪は混ざっているが、それでも漆黒の髪色。
絶滅したとされる、特異な力を持つと言われたあの種族。
店主は続ける。
「そんな欲望に取り込まれた男がいたんだ」
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